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大腸カメラの定期検査は何年に1回やるのがよいの?

[2019.10.21]

個々人のさまざまな症状や状況によっても異なりますが、2~3年に一度は大腸カメラを用いての検査を受けられるのが良いでしょう。ただし、大腸腺腫ポリープを過去に複数個切除した経験がある方などリスクが高い方は1~3年以内の定期検査が必要となります。

Q.定期検査を受ける意義とは?

A.大腸内視鏡検査は任意ですが、症状が出ない早期の段階での異常発見に努めることが重要です。
大腸の病気で最も警戒すべきは大腸癌です。大腸癌は症状が出てからでは進行している可能性が高く、死亡率も高い大変怖い病気です。仮にステージ4で転移がみられる段階で発見された場合には根治が難しく、余命は一般的に2~3年程度と言われています。早期癌(ステージ0)であれば大半の場合は大掛かりな外科的手術の必要はなく、内視鏡カメラを用いて内部で切除し根治できます。定期検査を行うかどうかはあくまで任意ではありますが、生命に関わる重大な病変を早期に見つけ出すという点では非常に価値のある検査です。

Q.特に検査をした方が良いのはどのような場合ですか?

A.症状がなくても、大腸癌リスクの高い方は定期的な検査が有効です。
特に以下に当てはまる場合は大腸癌リスクが高い方と考えられています。

大腸癌リスクが高いとされる方
40才以上の方

一般的に40歳を超えると大腸癌の発生率が上昇します。40歳という年齢がひとつの受診タイミングとなります。

便潜血検査が陽性の方

便潜血検査において陽性反応が出た場合は、腸内に何らかの異常が起きています。大腸カメラを用いて精緻に分析する必要があります。

過去に腫瘍性大腸ポリープを切除された方や大腸癌の術後の方

過去に複数(3個以上)の腫瘍性大腸ポリープを切除したことがある方は、再発しやすい傾向にあります。切除した際のステージや状態によって個人差はあるものの、通常3年以内に再検査する必要があります。検査タイミングなどは担当医とご相談ください。

家族性大腸癌が疑われる方

遺伝による影響を色濃く受ける家族性大腸癌は発癌率が高く、特に注意が必要です。ご家族内に50歳未満で大腸癌を発症された方がいる場合には、年齢にかかわらず定期検査を加えることが非常に有効です。家族性大腸癌についての詳しい説明はこちらも参考にしてください

すでに何かしらの異常や症状を感じている場合

痛みや違和感などといった異常をすでに感じている場合は、健康診断のタイミングを待たずその都度ご受診ください。

Q.一般的な検査の流れとはどのようなものですか?

A.40歳から公的検診で便潜血検査が受けられます。これに異常が認められた場合、大腸内視鏡検査を加えるというのが一般的な手順となります。
大腸癌リスクの高まる40歳以上の方を対象に、公的検診では便潜血検査が実施されています。正常組織よりも出血しやすいという癌の性質を利用することで、便中の血液の有無をスクリーニングします。しかし、便潜血検査だけでは小さなポリープや早期癌は判定されないことも多いです。その場合には任意検診でぜひ一度、大腸内視鏡検査をお受けいただければと思います。その結果、早期癌で亡くなる方は今やとても少なくなりました。早期に発見できるか否かが大きな分岐点となる大腸癌は、予防できる数少ない癌です。

Q.大腸カメラでわかる病気にはどのようなものがありますか?

A.大腸癌をはじめ、大腸憩室やポリープ、潰瘍や痔などといったさまざまな疾患の有無が判別できます。
癌は早期癌か進行癌かによって治療法が変わってきます。また、大腸からの出血として多くみられる痔も、ある程度しっかりした痔核がある場合には大腸カメラで見つけることができます。さらに肛門鏡検査を加えるとより詳細に観察することができます。

大腸カメラによって見つかることが多い病気(例)
  • 大腸癌
  • 大腸ポリープ
  • 大腸憩室
  • 大腸憩室炎
  • 大腸憩室出血
  • 潰瘍性大腸炎
  • 虚血性大腸炎
  • 腸の炎症 

などを
また、大腸ポリープや早期癌が見つかった際の摘出や、大腸憩室出血において止血術を迅速に行うことができるのが大腸カメラの強みです。

Q.昨今の大腸カメラの進化とは?

A.年々、医療機器は高性能かつ操作性も非常に優れた進化を遂げています。患者さん側の感じる負担が最小限に抑えられるだけでなく、検査を行う医療者側の技術精度も飛躍的に向上しています。
一昔前まで大腸内視鏡検査を行うには、患者さん側にも多大なる苦痛を強いるものでした。しかし、近年の医療機器の飛躍的な進歩と小型化により患者さん側の苦痛は大いに軽減され、医療者側としてもさらなる技術向上につながりました。例えば、内視鏡の先端には壁にぶつかると自然に湾曲する機能があったり、腸内のカメラの形状をリアルタイムに確認しながら検査することができるようになりました。視野角も広がり、粘膜や血管などの様子もより精密な画像で確認できるようになったことで、その場で診断をつけられるようにもなりました。カメラの挿入法も腸内を無理に拡縮したり空気で膨らませるようなことをしない方法(無送気軸保持短縮法)が確立され、患者さん側の苦痛が最小限に抑えられるようになりました。もし、過去の辛い検査経験から敬遠されている方がいるのであれば、現在では多くの改善が図られていますのでぜひ安心してお越しいただければと思います。

Q.苦しい思いをする検査は極力受けたくないのが本音ですが…

A.静脈麻酔を使用した検査を取り扱う医療機関も増えてきています。
大腸カメラにおいて患者さんが最も辛いと感じられるのは、下剤によって腸内をきれいにする前処置です。通常、2リットルの下剤を服用していただきますが、どうしても難しい場合にはカメラから下剤を注入する検査方法もあります。
また、病院の方針によっても異なりますが、静脈麻酔を使用して患者さんは眠ったまま痛みを感じることなく検査を終えられるものもあります。そういった検査法を扱っている病院かどうかは事前にご確認いただければと思います。
静脈麻酔を用いて行う検査方法について
人工呼吸器など繋ぐ必要のない程度の軽い静脈麻酔を用いることで患者さんは睡眠状態に入ります。身体をこわばらせることなく、眠っている間に検査を楽に終了することができます。しかし、麻酔の使用にあたっては呼吸管理など全身状態のモニタリングができる高度な医療環境と経験豊富な熟練した技術を持つ医師の両方が揃っている医療機関でのみ実施が可能となります。

大腸癌は予防できる癌だから―
健康診断のタイミングでぜひ担当医とご相談ください

大腸癌は胃癌・食道癌・膵臓癌などと比べると進行スピードは比較的遅いものの、放置しておくべきものでは決してありません。罹患率も日本においては男女合計で第1位を誇る最も恐るべき癌であり、食事の欧米化によってさらなる罹患率上昇が懸念されています。しかし、大腸内鏡検査を人間ドックなどを利用して意識して取り入れられている患者さんも年々増加していることが奏功し、近年の早期癌(ステージ0)の再発率は限りなく低い数値となってきています。早期発見できるほど、治療期間も少なくなります。大腸癌は今や予防できる癌です。検査を加える必要があるかどうかは、ぜひ健康診断のタイミングで担当医とご相談いただければと思います。

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