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無痛内視鏡検査を受けるにはどうしたらいいの?

[2019.08.01]

内視鏡に対する不安や恐怖心をやわらげ、ほとんど苦痛を感じることなく検査を終えることができる無痛内視鏡検査。検査方法や注意点を正しく理解できれば、内視鏡検査に対するハードルを大きく引き下げることが可能です。無痛内視鏡検査をご希望の方は医師までご相談ください。

Q.無痛内視鏡検査って何?

A.一人一人に適した軽い鎮静剤を用いることで、患者さん側はほとんど苦痛を感じることなく検査を終了できる方法です。特に上部内視鏡検査(胃カメラ)においては、舌のつけ根から咽頭に棒状のスコープを挿入する際に強い嘔吐反射が起きます。加えて、胃内部を詳細に観察するために空気を入れて膨らませるため苦しさや強い抵抗感を感じられる患者さんも少なくありません。無痛内視鏡検査では鎮静剤の効果によって、患者さんは眠ってしまうかウトウトしているうちにほとんど痛みや辛さを感じることなく検査を終えることができます。無痛内視鏡検査は胃・大腸ともに行うことが可能ですが、医師による判断が非常に重要となる検査ですので診察の際にご相談ください。

内視鏡検査で患者さんが苦痛を感じやすい例

上部内視鏡検査(胃カメラ)の場合
  • 棒状の内視鏡を口から入れることによる抵抗感
  • 内視鏡が咽頭を通過する際に起きる強い嘔吐反射
  • 喉の内部を内視鏡が触れることによる圧迫感や気持ち悪さ
  • 胃を膨らませて観察する際に生じるお腹の張り感
  • 胃から十二指腸に内視鏡が進む際に胃壁に感じる抵抗感
  • 鼻腔内が狭い方が経鼻内視鏡検査を受ける場合、カメラの通りにくさからくる嘔吐反射

など

下部内視鏡(大腸カメラ)の場合
  • 肛門狭窄がある場合に生じる痛み
  • 腹部の手術歴がある方や腹膜炎になったことがある方は腸の癒着により痛みを生じやすい
  • 腸内を膨らませて観察する際に感じるお腹の張り感
  • 内視鏡の挿入によって腸が伸ばされた際の痛み
  • 痩せ型の女性や腸が長い方

など

Q.無痛内視鏡検査のメリットと注意すべき点とは?

A.無痛内視鏡検査の一番のメリットは、内視鏡検査特有の苦しさや辛さを大幅に軽減できることです。
同時に患者さん側の抱える不安感や恐怖心もやわらぎます。また、苦しさを感じにくいことで検査時における体動が少ない分、スムーズに検査を進めることができるためより精度の高い観察が可能となります。ただし、ごく少量とはいえ鎮静剤を使用する検査であるため、医療者側は安全面に対する最大限の注意が必要です。患者さんの年齢や体格、既往症など十分に考慮した上で、全身状態のモニタリングや呼吸管理があわせて必須となります。経験豊富な熟練した技術を持つ医師が検査を行うだけでなく、それに対応できる高度な医療環境が必要です。

Q.検査の受け方として通常と大きく変わることはありますか?

A.検査の内容自体が大きく変わることありませんが、検査前に静脈注射で鎮静剤を投与するというステップが加わります。
鎮静剤が効き始めると患者さんはウトウトしたり、完全に眠ってしまわれる方も多いです。検査後は鎮静剤の効果が落ち着くまで院内のリカバリールームなどで休憩していただく必要があります。ご帰宅の際には車やバイクの運転ができませんので、あらかじめ公共交通機関を利用して病院までお越しいただくかご家族の送迎などもあわせて必要となります。通常、鎮静剤の効果は数時間程度でなくなるものですが、個人差が大きいためボーッとした感覚がある間は重要な決定事項や会議などはお避けくださるようお願いしています。

Q.どのような患者さんが無痛内視鏡検査を選ばれていますか?

A.ご自身の過去の経験から内視鏡検査に対して強い恐怖心や不安のある方、咽頭反射の強い方、精密検査やポリープ手術が目的である方、なるべく苦痛の少ない方法で検査を終えたいというご希望がある方などにお選びいただいています。
例えば、歯磨きの際にオエッとなりやすい方は咽頭反射が強い傾向にあります。咽頭反射は若い方ほど強く出やすいものですので、年齢によってもご検討をおすすめしています。また、初めて内視鏡検査を受けられるという方もどうぞお気軽に医師までご相談いただければと思います。初めての検査がトラウマになるほど悪い印象として残ってしまうと、次回以降の検査をお受けいただけなくなる可能性も十分に考えられます。初めての場合にも痛みに対して恐怖心が強い場合は無痛内視鏡検査をご選択いただいてもよろしいかと思います。

Q.無痛内視鏡検査を希望しても受けられないケースはありますか?

A.妊娠中の方や授乳中かつ断乳できない方、重篤な呼吸器疾患のある方はお受けいただくことができません。
鎮痛剤を用いた検査となるため、安全面に関しては徹底した管理が必要となります。クリニックによってもチェックリストがありますので、まずは既往歴やご自身の現在の身体の状態を診察の際に医師まで正しくお伝えください。

Q.使用する麻酔の量を相談することはできますか?

A.麻酔の投与方法については大きく分けて二種類あります。
ひとつは一度の注射で麻酔を入れきるワンショット投与と呼ばれる方法です。短時間で投与できるため患者さん側の負担を少なくできるというメリットがあります。しかし、身体の大きさの違いや麻酔の効きやすさといったその方の体質に関わらず、一律の量を投与することで効果のバラツキが発生する可能性があります。もうひとつのやり方は分割投与と呼ばれるもので、少量から麻酔を投与し始め、効果が徐々に表れ始めたことが確認できればその段階で投与をストップするものです。分割投与では個人個人の効き目の差に細かな対応ができるため麻酔量を最小限にとどめることができます。麻酔についてご心配事やご不明な点がある場合には医師までご質問いただければと思います。

Q.同じように痛みが少ないと言われている経鼻内視鏡検査と無痛内視鏡検査とではどのような違いがありますか?

A.これは実際の診療現場でもよく患者さんからお受けするご質問です。結論から言うと、鎮静剤の有無で検査方法が異なっています。経鼻内視鏡は文字通り鼻から細い内視鏡を通して胃内部を観察するものです。嘔吐反射の強い口から内視鏡を挿入しない分、苦痛の感じ方が少なくなるという特徴があります。経鼻内視鏡検査では鼻の奥にスティック上の麻酔薬を挿入して部分的に感覚を鈍らせることで内視鏡を挿入しやすくしています。無痛内視鏡検査のようにウトウトしたり眠ってしまうような鎮静剤は用いないため、意識がしっかりした状態で医師と会話をしながら検査を受けることも可能な上に検査後はすぐにご帰宅いただけます。もちろん、経鼻内視鏡にさらに鎮静剤を加えて、眠っている間に楽に検査を行うことも可能です。ただし、その場合には検査後の十分なリカバリーが必須となる無痛内視鏡検査と呼ばれるものとなります。

Q.忙しいので検査後のリカバリー時間をもっと短くすることはできますか?

A.これも患者さんから良くいただくご質問です。お仕事の合間などに検査にお越しになられる方などは特に1時間もゆっくり休憩する時間は取れないといったご事情をお抱えです。そういったご要望がある方に対しては、超短時間作用型の鎮静剤というものがあります。検査後の回復時間を通常の半分から1/4程度に短縮することができるといわれています。保険外(自費)の処置であり、扱う病院も限られていますが患者さんのご要望に沿った個別の対応も最近では可能となっています。

Q.麻酔が効きづらいタイプのようなのですが…

A.「以前、他の病院で検査した際に麻酔があまり効かなかった」というご相談をいただくこともよくあります。鎮静剤は意識レベルを下げすぎると脳の抑制機能が失われ、急に暴れ出したり予期せぬ行動を取ることがあり大変危険です。その場合には先に述べたような超短時間作用型の鎮静剤を組み合わせると相乗効果でしっかりと効果を得ることが可能です。鎮静剤を使用する無痛内視鏡検査は特に、高度な専門知識と豊富な現場経験に長けた医療スタッフによって扱われています。診療の際などを利用して、ご納得いただけるまでしっかりとご相談いただき、ぜひ安心して検査をお受けいただければと思います。

自分らしい検査スタイルを見つけることはとても重要なことです

内視鏡検査はとかく苦痛ばかりが先行しやすく、それを理由に検査自体を遠ざけるようになられる患者さんも決して少なくありません。胃や大腸は異常の早期発見が重要となる臓器であるばかりか、内視鏡でなければ詳細に観察することができない部位でもあります。患者さん側にとっても貴重な時間とお金を費やして受ける検査となりますから、必要以上の我慢を強いるものであってはならないと考えます。診察の際にはぜひご自身の検査イメージを遠慮なくお話しください。不明点はどんな小さなことでも事前にスタッフまでご質問いただき、安心してお受けいただくことが肝心です。最も重要なことは定期的に内視鏡検査を受けてご自身の健康状態を確認できることです。そのためにも、無理なく継続できる自分らしい検査方法を知ることはとても大切です。

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