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以前に大腸腺腫や家族性大腸腺腫症と言われたら、定期検査は必要ですか?

[2020.03.26]

腺腫とは時間の経過とともに癌に進行する疑いがある腫瘍を指します。腺腫が見つかった場合には予防的に切除する必要があるだけでなく、今後の定期的な観察がとても重要となります。家族性大腸腺腫症の場合には、大腸内とあわせて胃の内視鏡検査も同時に必要となります。

大腸腺腫とは

大腸内の粘膜層の一部がイボのように隆起したものを大腸ポリープと言います。その中でも時間の経過とともに大腸癌に進行する可能性のあるものを「腺腫」と呼びます。腺腫は内視鏡検査をすれば2人に1人は見つかると言われるほど発生頻度としてはとても高いものです。それゆえ定期的な観察が必要となります。

家族性大腸腺腫症とは

大腸内に100個以上のポリープができる病気であり、放置し続けると100%の確率で大腸癌に進行する病気です。若年発症するケースもあり、30歳で5人に1人が大腸癌を発症すると言われています。遺伝性の大腸癌としては発生頻度が高いものですが、大腸癌全体でみると2~3割程度です。家族性大腸腺腫症の方は十二指腸癌も併発するリスクが高いため、定期的な大腸内視鏡検査とあわせて胃カメラを用いた検査も必要となります。

健康な身体であることを確かめることこそが本来の定期検査の意義

定期検査とはそもそも何も症状が出ないうちに確認することが本来の目的です。癌は自覚症状なく進行するものです。特に大腸癌は他の一般的な癌に比べると進行スピードは遅く、だからこそ症状のない早期の段階での発見が何よりも重要となります。早期であればあるほど内視鏡治療だけで完治できる可能性がより高まります。

腺腫が見つかった場合

予防的に切除する必要があります。大腸内に内視鏡を挿入し、そのまま腺腫を切除します。早期に発見することができれば、より傷も小さく身体が受ける負担も少なくすみます。切除が困難なほど大量の腺腫が見つかった場合には、外科的な手法を用いて大腸全摘出手術を行うケースもあります。家族性大腸腺腫症の方は十二指腸癌を合併するリスクも高まるため、治療とあわせて胃の内視鏡検査を受けることが必要です。

早期であれば内視鏡でそのまま簡単に切除することができます。
末永く健康であるためにご自身でも意識改革を―

昨今の医療技術の進化はめざましく、大腸内視鏡検査に用いる医療機器についても非常に高性能化しています。大腸腺腫が見つかった場合にも、早期であれば今やクリニックレベルで簡単に切除することが可能です。家族性大腸腺腫症の患者さんにおかれましても1980年代までは大腸癌で約8割の方が命を落とされるほどの恐ろしい病気でしたが、今では6割ほどにまで抑えることができています。
最初は良性だったポリープも10mm以上の大きさに成長してくると癌化する危険性が高まります。健康診断等で以前、腸内に異常が見つかった経験がある方は、ぜひ今後も積極的に定期検査をお受けください。患者さんご自身が自分の手で末永く健康を守り続けられるためにも、定期検査に対するハードルを下げ、ぜひ意識改革を図っていただけたらと思います。

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