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胃にポリープがあると言われたらどうする?

[2018.12.13]

早期であれば内視鏡レベルでの治療が可能です!

Q.そもそも「胃のポリープ」って何?

A.胃の粘膜層の一部がイボのように隆起し、周りより高くなっている部分をポリープと呼びます。種類にもよりますが、周りの粘膜と同色調のものや発赤したものなどがよく見られます。発赤(赤みを帯びている)しているということは、出血やうっ血、血管増生の可能性があります。その他、まれにメラニン色素の沈着により黒っぽく見えたり、コレステロールの沈着により黄色く見える場合もあります。

Q.胃のポリープにはどんな特徴や種類があるの?

A.大きく分けて二種類あります。

腫瘍性ポリープ

良性と悪性のポリープがあります。
良性腫瘍は腺腫と呼ばれるものが多く、10-30%は悪性化し胃癌に進行すると言われています。
一方、悪性腫瘍はいわゆる胃癌です。
どちらも血管の増生があるので一般的には赤くなることが多いです。

非腫瘍性ポリープ

一番多いものは胃底腺ポリープと呼ばれるものです。具体的な症状がない場合には、通常は切除しなくて良い良性のものです。別名“幸せポリープ”と呼ばれることもあるように、ヘリコバクターピロリ菌に感染していない胃(胃癌リスクが低い環境)に見られることが多いです。
また、過形成ポリープと呼ばれる赤みを帯びたポリープが見つかるケースも多いです。通常は切除を必要としないものですが、過形成ポリープは大きくなるケースもあり要注意です。出血したり、3cmを超える場合は癌の合併率が上昇します。その場合は切除が必要となります。

Q.胃にポリープがあるとどんな症状があるの?

A.一般的にポリープによる症状としては、自覚症状はほとんどありません。しかし、ポリープが大きくなると出血し、貧血を起こすことがあり、さらに胃癌のリスクが高まります。進行すると食欲不振や胃もたれなどにも繋がります。特にピロリ菌関連の胃癌に関しては高齢の方に多くみられる傾向があります。ピロリ菌に胃が荒らされ、慢性胃炎のひとつである萎縮性胃炎を長年患うことで胃癌リスクが高まりますので中高年の方は要注意です。一方で、ピロリ菌との関連が少ない若年発症のスキルス胃癌や印環細胞癌もあり、若い人でも注意が必要です。

Q.どういう治療が必要となるの?

A.胃のポリープ切除に関しては、主に大きめの胃腺腫、胃癌リスクが高いと判断されたポリープの切除が一般的です。胃のポリープ切除は出血リスクも高くなるため、基本的には専門の医療機関での入院治療が必要となります。サイズの小さいものや非腫瘍性ポリープで特に症状がないものに関しては、年に一度の定期検診などを利用しながら経過観察をします。早期の胃癌が発見された場合には、専門医療機関にて治療を行います。早期であれば約半数が内視鏡での治療が可能です。ただし、早期でも粘膜下層という深い部分にまで進行しているものは外科的手術を必要とします。
また、良性の胃底腺ポリープであっても大きくなると出血し、貧血症状をきたすようになる場合もあるので、その際は内視鏡で切除します。

Q.胃の内視鏡検査ではどんなことがわかるの?

A.胃の内視鏡検査を行う最大の目的は胃癌の早期発見です。切除の必要のある腺腫やポリープを見つけ出すこと以外にも、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎といった胃内部のトラブルや大きな病を引き起こす可能性のある因子を早い段階で見つけ出し、治療することが重要です。中でも萎縮性胃炎は胃癌を引き起こすリスクが高いものと言われています。適切に内視鏡カメラを用いて、丁寧に胃の状態を確認することが今後の生活スタイルを見据えた上でも、とても意味のあることです。

Q.胃の内視鏡検査を受ける際に注意すべき点は?

A.胃の中をくまなく見られるために、まずは胃内部を空っぽにしておく必要があります。検査前日の夜からは禁食となります。口から胃に内視鏡を挿入する際、反射が強い方ほどどうしても苦痛を感じやすいものですが、痛みや苦しさを軽減されたい場合には、経鼻内視鏡や鎮静剤・鎮痛剤を使用した無痛内視鏡などさまざまな選択肢がございます。

Q.良性のポリープなら安心していいの?

A.基本的には良性であれば心配ありません。しかし、中には悪性に転化するものも近年発見されていますので、年に一回の健診等を利用しながら定期的に経過観察することが大切です。

抗血栓薬をお飲みの患者さんへ

脳梗塞や心筋梗塞の予防として抗血栓薬を服用されている患者さんは、以前は検査のために服用を一時的に中止されるように言われていた方も多いと思います。しかし現在では服用を継続したままでも検査は可能になりましたし、術後の合併症のリスクもずいぶん低くなりました。むしろ服用を一時的にやめることで、患者さんにとっての脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めてしまうことは本末転倒との考えもあります。継続して服用いただきながら、内視鏡検査も可能ですのでご相談ください。

定期的な健康診断等を活用しながら、正しい情報把握に努めて

いざ胃のポリープと聞くと胃癌をイメージし、不安になられる方も多いと思います。しかし、実際の診療現場では良性であることはとてもよくあることです。まずは詳細な検査を用いて、正しい知識と情報を得ることが重要です。中には悪性に転化するポリープもあるので、年に一度の定期検診等で得られる情報を有効に活用しながら、ご自身の現状を確認し、食生活など生活スタイルも今一度振り返る良い機会にしていただければと思います。

また、胃癌に関しては若年層も高齢の方も双方にリスクがありますので、何かご自身で異変や不安を感じることなどあれば積極的に胃内視鏡検査を行うことをおすすめします。

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