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大腸がん検診にひっかかった(便潜血で陽性と言われた)らどうする?

[2018.11.27]

肉眼で見えない少量の出血を検出する「便潜血検査」

Q.そもそも「便潜血」って何?

A.潜血とは肉眼で見えないレベルの少量の出血を指します。よって、検査で陽性と判定された場合は、便が通る道筋のどこかに出血をしている箇所があるということを表しています。
便潜血検査は、大腸内に血液が存在していないか、下部消化管(大腸)の病気が隠れていないかを診る検査です。検査の結果が「陽性」の場合には、すなわち病気の可能性が示唆されていますので早期受診とより精密な検査が必要となります。

Q.便潜血は痔による出血とは違うもの?

A.痔の進行度合いや出血量も人によりさまざまですが、一般的には痔は進行すると排便の際の圧により、ご自身でも確認できるほどの比較的多い出血量があります。一方で、便潜血検査で検出されるものは、目に見えない程度のごくわずかな出血量です。そのため、たいていの場合は、痔による出血と潜血は異なるものとして区別できます。ただし、痔のごく初期の段階では、気づかない程度の出血をすることがあります。よって、潜血と同じような検査結果を招く場合があります。

Q.検査では引っかからなかったが、便に出血がみられる場合は?

A.目で見て明らかにわかるレベルの出血がある場合は、検査の結果に関わらず速やかな受診と精密な検査が必要となります。

大腸癌など命に関わる病を早期に防ぐために

Q.必要となる診察や検査とはどのようなものですか?

A.まずは命に関わる大腸癌の可能性の有無を精査する必要がありますので、大腸内視鏡検査等の精密検査を行うこととなります。
検査結果により、大腸癌の疑いをかんがみた後、患者さんには必要な治療を開始することになります。必要と判断された場合には切除を行います。また、痔による出血とわかった場合には適切な痔の治療を開始することとなります。
その他に大腸カプセル内視鏡検査やCT検査等もございますが、内視鏡切除が必要となる場合には最終的には大腸内視鏡を用います。ですので、大腸内視鏡検査が精密検査の第1選択として、選ばれることが多いです。

Q.何らかの病気の疑いがあると判断された際に気をつけることは?

A.大腸に関する病は大きく二つに分類されます。

①発生頻度が高い病
例えば、痔は非常に頻度が高い病です。その他、腸内で出血する大腸炎や大腸憩室出血、大腸腺腫等の疾患も多いものです。それぞれの病に対する適切な治療を行うことが優先されます。

②頻度はそれほど高くないが、直接的に命に関わる病
 大腸癌はその最たる例です。自覚症状が出る段階ではかなり進行した状態にあると考えられます。早期発見・早期治療がなにより重要な鍵を握る病です。精密検査と専門的な治療が必要となります。

①②ともに、早期発見しなければならない病気です。致命的な病気でなくても、ひとつひとつ丁寧に精密検査を用いて確認しながら診断していくという過程は大切です。腹痛や腸閉塞など、自覚症状が出てからでは遅く治療できない段階にあるケースも多いです。患者さんにおいては大腸内の病変を早期に見つけ出せるよう、便潜血検査の機会を有効に活用していただければと思います。

思い込みや勘違いで軽く見過ごさないでほしい便潜血の怖さ

実際の検査現場でも、痔を患われている患者さんほど、便潜血の結果を「痔のせいだ」と思いこまれている方は非常に多いです。繰り返しになりますが、便潜血は肉眼では見えないレベルの少量の出血です。大腸癌だけでなく、別の病気の可能性も十分に考えられます。決してご自身のみで軽く判断することのないよう、くれぐれもご注意いただければと思います。

便の採取は正しい方法で!

一般的に便潜血検査は二日間にわけて便を採取する方法です。しかし、まれに同じ便から二回分を同時に採取される方もいらっしゃいます。採取した便がたまたま潜血が混じってないものであったり、潜血がない部分を採取してしまっている場合もあります。また、進行癌であっても便潜血検査に引っかからないケースもあります。より精度高く、正しい結果を得られるように、検査方法を正しく理解していただくよう、患者さんにもご協力をいただいております。

「心配ない」ということを確認するためにも

精密検査を行うことはとても重要な意味を持ちます
「便潜血陽性=大腸癌」というわけでは決してありません。痔や大腸癌以外の良性疾患による出血であることも多いです。しかし、大腸癌であった場合には致命的となります。今起きている出血が「心配ないものである」ということを確認するためにも、詳細な検査を行うことは非常に重要な意味を持ちます。陽性反応のあった患者さんにおいては、まずは一度、早期に大腸内視鏡等の精密検査をお受けいただければと思います。

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